全国高校サッカーインターハイ
全国高校サッカーインターハイ(総体)は28日、男子サッカーの3回戦が福島県で行われ、近大附属(大阪1)が一昨年の覇者・昌平(埼玉)を2-1で下し、準々決勝へ進出した。殊勲の決勝点を決めた久下 彬(くげ あきら・3年)は中体連出身の大型FW。エリート街道とは無縁だったが、今大会で才能が開花し、進路選択にも新たな道が生まれた。
日差しが照り付ける夏の福島で勝負強さを見せつけた。1-0とリードの前半30分、ペナルティーエリア内に流れてきたボールに反応すると、迷わず左足を振り抜いた。「絶対に自分が打ちたい」。シュートはゴール右へ突き刺さり歓喜のガッツポーズ。強豪相手にリードを広げる一撃に会場はどよめきに包まれ、100人を超すサッカー部員が集ったバックスタンドは沸いた。
2回戦の帝京安積戦に続く今大会2ゴール目。持ち味は184センチの長身を生かした空中戦での勝負だが、ここぞの決定力も光る。8強入りを決めた試合後「大阪で全国決めた時よりも嬉しかった」と興奮を抑えきれない様子だった寺師悠斗監督は「いや、ちょっとね、なんか想像できひん」と、目を丸くしながら微笑んだ。
奈良県出身の久下は地元の真美ヶ丘中学校サッカー部から這い上がった。全国常連の近大附属サッカー部にはJクラブのジュニアユースや有名街クラブ出身のエリート選手が数多く在籍するが「中学校のレベルは地区大会のベスト16ぐらい。ほんとに強くないチームだった」と振り返る。
大学で「水産の勉強、魚の勉強がしたい」という思いも…増えた選択肢
当初は難関校で知られる畝傍高校(奈良県)への進学を目指していたが、受験に失敗。そこから縁あって併願受験で近大附属へ。160人を超す大所帯のサッカー部へ入部時にはBチームとCチームを行き来した。センターバックにコンバートされたこともあったが、持ち味のヘディングを鍛えることで評価が上昇。「2年生の春頃に1度、Aチームに入れてもらえて、プレーの基準が上がっていった」という。
今大会ではエース級の働きでチームの快進撃に貢献。寺師監督は「めっちゃ下手なんすよ、ほんまに」と冗談を交えつつ、叩き上げられた久下の成長ぶりを「泥臭さで這い上がった」と頼もしく見つめている。
周囲からの見る目も変わった。「この大会で色んなところからお声がけいただいて。元々そんな選手じゃなかったんですけど」(寺師監督)。大学では「水産の勉強、魚の勉強がしたい」(寺師監督)と考え、高校卒業後はサッカーを断ち切る覚悟もあった。だがインターハイでの活躍から進路の選択肢が増えた。
一度は諦めていたサッカー人生。水産への興味もあるが「プロになれるかどうかはわからないですけど、本当に上を目指してもう日々頑張りたいなっていう風に思っています」と心に決めている。思わぬ評価を受けた高校最後の夏。チームと共にさらなる飛躍へと歩む。
(THE ANSWER編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)












