BLACK SAMURAI SUMMIT 2026
米プロバスケットボール(NBA)クリッパーズの八村塁が主催する次世代アスリート育成プロジェクト「BLACK SAMURAI SUMMIT 2026」が6日からの3日間、名古屋市のIGアリーナで開催される。初日はプログラム開始に先立って記者会見が行われ、八村と日本バスケットボール協会(JBA)の島田慎二会長が登壇した。日本バスケの未来のために、双方の意見が一致したことを示す23分間だった。
あの騒動から1年9か月。壇上で固い握手をかわし、グッと体を寄せ合った2人の姿が“雪解け”を象徴していた。
パリ五輪終了後の24年11月、八村は代表コーチの人事などを巡ってJBAの方針をあけすけに批判した。昨年8月、同じIGアリーナで中高生向けバスケキャンプ「BLACK SAMURAI 2025」を開催した時の会見でも「ここ最近、代表や協会のやり方が違うんじゃないかと指摘しているだけ」と真意を説明していた。
昨年9月にBリーグのチェアマンも務める島田氏がJBAの新会長に就任。同10月には従来の「技術委員会」を「強化委員会」に改編し、Bリーグ長崎の代表取締役社長兼GMである伊藤拓摩氏を強化委員長に据えた。今年2月にはトム・ホーバス氏に代わり、桶谷大氏を男子代表のヘッドコーチに任命。同時に、次世代の選手育成も視野に入れたホリスティック(包括的)な強化方針を打ちだした。
刷新されたJBAが掲げる「常に『世界基準』を前提とした育成・強化」は、八村が昨年から「BLACK SAMURAI」プロジェクトで強調してきたことと合致する。そんな中、次世代のエリート選手17人を招待した今回のサミットでは、双方がタッグを組んで「男子U18日本代表合宿との特別融合プログラム」を行うこととなった。17人のうち13人は、U18代表の第6次強化合宿参加メンバーでもある。
コラボを持ちかけたのは八村だった。
「最強の高校生を集める中で、やっぱり日本代表、JBAの力がないと日本のトップの高校生を集められないということで、僕たちからリーチアウトしました。僕は日本のバスケのためにやっていきたい。日本のバスケを強くするためには、僕だけではできない。日本代表はじめ、JBAの協力があってこそ成し遂げられること」
次世代を担う有望な選手たちが「世界基準」に触れ、挑戦できる機会を創出することを目指すこのサミット。島田会長も「物凄く意義深い、価値のあること」と賛同し、「方向性が一致したので、一緒にやりましょう」と即座に快諾した。
昨年12月にはロサンゼルスで予定時間をオーバーするほど熱く対談
昨年から何度も対話を重ね、12月には島田会長がロサンゼルスを訪問。予定時間をオーバーして周りに止められるほど、熱く日本バスケの未来について語り合った。
「日本のバスケを強くしていきたいと私も思っている。どうやって強くしていくのか、どう日本のバスケがあるべきなのか。アドバイスやご意見もたくさんいただいたし、それで私もインスパイアされて今やっていることに影響を与えていることもたくさんある」。そう振り返った島田会長が「良い時間でしたよね」と口にすると、八村も「そうですね」と笑みを返した。
島田会長は「八村選手が見ている景色は、日本で見ている人がいないもの」と、NBAでレギュラーを張る八村の知見がいかに貴重なものか強調した。「私の知識では足りないが、その景色を出来る限り受け止めて、日本のバスケット界にどうやったら良い形で反映していけるのか、日本バスケット界の強化や発展のためにどう結び付けられるかにフォーカスした」と謙虚に耳を傾ける。
今回のサミットも、八村自身が高校時代に参加した「ジョーダン・ブランド・クラシック」など同世代の世界トップが集うイベントでの経験がベースになっている。スキルやマインドセットの指導だけではない。1万人規模のアリーナで観客を入れ、NBAのような演出で大舞台を肌で感じてもらう。メディア対応の場数も踏ませる。高校生の自分に必要だったものを当時に立ち返って考え、盛り込んだ。
全ては日本バスケの未来のために。八村はパリ五輪以降、日本代表から遠ざかっていたが、今月末に行われるFIBAワールドカップ2027アジア地区予選 Window4に出場意欲を示している。3日に発表された直前合宿の代表メンバー14人にも名を連ねた。
「日本代表が子どもたちの憧れになる、アカツキ・ファイブになりたいと思うような団体になりたい。やっぱり結果は大事だし、雰囲気やオーラも大事。そういったことも全部含めて日本代表である風格をJBAの中で、日本代表として作っていけたら」
責任感を持って再び日の丸を背負うことを決めた八村。島田会長からの「一緒に頑張りましょう」の呼びかけに、「頑張りましょう」と力強く頷いた。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)












