ネーションズリーグにカナダ代表として出場したスカイラー・ヴァルガ
日本でプロキャリアをスタートさせるカナダの23歳が、夏の大阪で忘れられない思い出を作った。バレーボール男子のSVリーグ・東レアローズ静岡に新加入するOHスカイラー・ヴァルガは、7月15~19日にAsueアリーナ大阪で行われたネーションズリーグ(VNL)予選ラウンド第3週大阪大会にカナダ代表として出場。初めて浴びた大歓声に胸を高鳴らせた。
想像以上の光景が広がっていた。唯一日本戦がなかった18日。カナダとキューバの一戦に5046人もの観客が詰めかけた。チケットは完売。アリーナ中に響く轟音スパイクにはどよめきが起き、息つく間もないラリーには惜しみない喝采が送られた。スタンドには両国の国旗が揺れ、手作りの応援グッズが煌めく。
「毎試合ほぼソールドアウト。日本の皆さんのサポートは本当に信じられません。素晴らしいです。とても気に入りましたよ」
ストレート負けを喫した無念の試合後。長いファンサービスを終えて取材エリアにやってきたヴァルガの両手は、手渡されたプレゼントでいっぱいになっていた。
初めて体感する日本の応援文化。16日の日本戦では7377人の大声援に圧倒された。「両耳を覆わないといけない時が何度かありました。叫び声で耳が痛くって」。無敗の相手に2セットを先取。ヴァルガ自身も10得点と存在感を見せたが、3セットを連取されて肩を落とした。それでも「これだけの声援。次のシーズンがより楽しみになりました」と気持ちは高ぶる。
6月に東レ加入が発表されたばかり。5月まで米国のカリフォルニア州立大ロングビーチ校でプレーし、在学中の2024年からカナダ代表にも名を連ねている。2003年3月生まれの23歳にとって、これがプロキャリアのスタート。複数の国のクラブからオファーを受けた中で、選んだのは日本だった。
東レOBに連絡「みんな可能なら100%戻りたいと」
「日本のリーグに行ける可能性があるなんて、少し驚きました。ずっと夢ではありましたが、まさかこんなに早い段階でこのリーグに入れるなんて思ってもいませんでした」
契約を結ぶ前には、東レでプレー経験のある複数の選手に連絡を取った。「みんなから良いフィードバックを得たんです。彼らはとても気に入っていて、可能なら100%戻りたいって話していました」。観客は熱心。環境もいい。選手としても成長できる。「僕にとって全てが揃っていました」。未踏だった極東の国に恐れず飛び込むことを決めた。
SVリーグの開幕は10月で、日本への引っ越しはまだこれから。「めちゃくちゃ暑いですね。この暑さは予想していませんでした。でも、涼しくなる時期もありますよね?」と少し不安げ。今が一番暑い時期だと聞くと「よかった」と安堵の笑みをこぼした。
日本代表とは、VNL大阪大会前の7月10日にも沖縄で親善試合を戦い、1-3で敗れた。2度の敗戦でどんな印象を受けたのか。
「全ての側面で非常に技術が高いですね。ブロックで倒せると思ったら、とてもうまくボールを拾うし、サーブレシーブで太刀打ちできると思ったら、うまくアタックしてくる。だから早めに主導権をとって、うまくやりこなし、全ての面を封じないといけないチームです。そうしないと別の得点方法を見つけてきますから」
予選ラウンドでフルセット6戦6勝だった日本と対照的に、カナダはフルセット7戦全敗と、あと一歩で力尽きる試合が目立った。アルゼンチン代表のルチアーノ・パロンスキー(サントリー)は、日本製鉄堺で2024-25シーズンを過ごした後、SVリーグで学んだことに「Never Give Up」の精神を挙げた。異国でプロキャリアをスタートさせるヴァルガにとっても、学びの多いシーズンになるはずだ。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)












