パリ・サンジェルマン戦でチーム最多6得点
ハンドボール界にロス五輪の星が現れた。フランスの強豪パリ・サンジェルマン(PSG)を招いた国際親善試合が5日、東京・有明アリーナで行われ、次世代の日本代表で構成された若手中心の「ネクスト日本代表」が出場。試合は29-37で敗れたものの、中部大2年のLBハリス希生(きお、19)がチーム最多の6得点で、28年ロサンゼルス五輪代表へ名乗りを上げた。
前半途中からコートに立ったハリスが、スタンドの視線を集めた。186センチと決して大きくはないが、抜群のジャンプ力と思い切りの良さで次々とシュートを放った。相手GKのセーブに阻まれる場面もあったが、11本のシュートで6ゴール。スタンドを埋めた1万422人の観客を魅了した。
クライマックスは終了間際。ミスからの失点で大差をつけられたが、パリ五輪代表であり、若手中心のチームで主将を務めるCB藤坂尚輝(24=大同東海)の絶妙のパスを受けて華麗なスカイプレーでゴール。「藤坂さんにやろうと言われて。いい終わり方ができました」と笑顔で振り返った。
米国人の父と日本人の母はバスケットボール経験者だが、ハリスは小学3年生でハンドボールに出会って、その魅力にはまった。「展開の速さ、当たりの強さ、躍動感があって、かっこいいスポーツだと思いました」。福岡・九産大高時代にはエースとしてチームを牽引し、ベスト8入りに導いた。
昨年中部大に入ると1年生ながら中心として活躍。高校時代の77キロから88キロと増量し、シニアの当たりにも負けない体に成長した。今年はリーグH豊田合成名古屋の一員としてチャレンジリーグにも出場。日本代表合宿にもトレーニングパートナーとして招集されるなど、着実にステップアップしている。
武器は「身体能力を生かした得点力」と胸を張る。まだまだ荒削りで、本人も「瞬間的な状況判断など課題がある。藤坂さんや(豊田合成の)田中大介さんは判断力がすごいので、近づきたい」と話した。それでも、26歳以下の選手で構成されたチームで、守備で活躍した南城魁星(中大)とともに19歳で最年少。将来性は十分だ。
「お客さんを楽しませたい」とスカイプレーを提案した司令塔の藤坂も、ハリスについて「ジャンプ力とシュート力はピカ一。すごくポテンシャルがある」と絶賛。トニー・ジェローナ監督も「経験を積んで成長して欲しい」と話した。
「これだけのお客さんの前で、プレーしたのは初めて。緊張するというよりも、楽しみながら、みんなをワクワクさせるプレーがしたかった」とハリス。「世界のトップを相手に、100パーセント出せました」と満足そうに話した。
「将来的には海外でもプレーしてみたい」という19歳の目標は「オリンピックに出て、メダルをとること」。ロス五輪までは2年しかないが「出場したい」と言い切った。3年前のPSG戦で飛び出して日本代表の中心選手に成長した藤坂のように、PSGを相手に鮮烈な「代表デビュー」を飾ったハリスが、男子ハンドボールに旋風を巻き起こす。
(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)
荻島 弘一
1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。












