WTTチャンピオンズ横浜大会
卓球のワールドテーブルテニス(WTT)チャンピオンズ横浜大会第2日は5日、横浜BUNTAIで行われた。女子シングルス1回戦で、世界ランク17位の伊藤美誠(スターツ)は、同6位の王芸迪(中国)にゲームカウント1-3で敗れた。試合後はスタンドのファンと約20分交流し、写真撮影やサインに応じた。その粋な行動に込めた思いとは――。
第4ゲーム。2-4でタイムアウトを取った。やるべきことを整理し、気持ちを落ち着かせた。もう1ゲームも落とせない劣勢の中で、温かい声がスタンドから飛んだ。「頑張れ」「美誠ちゃん」「ファイト」。もちろん伊藤の耳にも届いていた。
その声は、伊藤の何よりの励みになった。ただ、経験豊富で、対戦成績でも大きく負け越している29歳の中国人プレーヤーは、流れを渡してくれなかった。第4ゲームも3-11と押し込まれ、1回戦敗退が決まった。「変化もスマッシュもよかった。自分のよさも出ていたが、相手のサーブに工夫があり、幅も広がっていた」と振り返った。
ぐっと口を一文字に結び、悔しさを噛みしめた。結果を受け止めつつ、スタンドに目を向けた。温かいファンの拍手が注がれてきた。横浜は幼少期に一時期、住んでいた場所でもあった。スタンドには当時の知人の姿もあった。
王との一戦は、この日の最後の試合だった。だから後の試合のスケジュールを気にする必要がない。王や審判らと握手を交わすと、ファンで埋まるスタンドの方へ向かった。カメラを向けられれば、笑顔で記念撮影し、サインを求められるとペンを走らせた。試合終了から約20分。ファンサービスに徹する姿があった。まさにファンへの思いがにじむ対応だった。
伊藤は行動に込めた思いを語った。
「そうですね。やっぱり日本でやる機会っていうのも少ないですし、最終試合、一番最後だから出来ることがあるなと思って。少しでも、みなさんの記念になったり、思い出になったりすればいいなと。触れ合い、話し合いができたら記念になる。あとは子供たちの夏休みの思い出になったらいいなと、させてもらいました」
もちろん敗北の無念さはありつつ、それでも最後まで笑顔でファンと向き合った。貴重な日本開催の国際大会。勝敗だけではない形で、卓球の魅力を届けようとする伊藤らしさがにじんだ横浜の夜だった。
伊藤の心遣いは、取材エリアでも変わらなかった。報道陣の1人のスマホケースに目を留めて、指さした。「ジジと同じスマホケース。最近、買ってあげたんですよ」と笑顔で一言。自ら世間話も交え、場を和ませた。
9月に開幕する名古屋アジア大会の代表にも決まっている。アジアのナンバーワンを決める4年に1度の祭典だけに「あまり卓球を見たことない方でも、見に来てくれるんじゃないかなという風に思います。そういう部分では、『なんか卓球ってすごい面白そうだな』って思ってもらえるようなプレーができたらいい。すごく楽しみです」と言った。
(THE ANSWER編集部・上田 悠太 / Yuta Ueda)












