全国高校サッカーインターハイ決勝
全国高校サッカーインターハイ(総体)は1日、男子サッカーの決勝が福島県で行われ、静岡学園(静岡)が近大附属(大阪1)を2-1で下し、悲願の初優勝を飾った。史上初の決勝進出を果たした近大附属イレブンは涙。ピッチ上では両チームの選手が寄り添い抱擁。高校から離れ離れになった盟友同士が決勝の大舞台で約束を叶えた。
気温34度、じっとしていても汗がにじむほどの蒸し暑さに包まれたJヴィレッジスタジアム。試合終了のホイッスルが響くと、ピッチ上では勝者と敗者のコントラストが広がる。後半途中から起用された近大附属の10番川西啓斗(3年)はピッチに膝をついて号泣。ユニホームで顔を覆い、失意に包まれた。
そこへ近寄ったのは、静岡学園の24番高丘泰昂(3年)。身をかがめてそっと手を当てる。立ち上がった川西と手を取り合い、身を寄せ合うと抱擁を交わした。
「ずっとありがとうって言ってくれた。中学時代は一緒のチームで、卒団する時に『全国でやろう』っていう話はして。やれたらいいなと思っていましたし、簡単に叶うことじゃないので叶ったのは良かったです」(川西)
ともに大阪府東大阪市にある柏田サッカークラブ出身。プロ輩出歴もある同クラブで切磋琢磨した間柄だった。「連絡は取っていましたし、夏に大阪へ帰ってきた時とかも、一緒にボールを蹴りに行ったり……」。離れ離れになっても、高丘との仲睦まじい様子を明かした川西。表情には時折、笑みも浮かぶ。沈んでいた声のトーンも上がった。
大会中も連絡を取り合い、会場で姿を見かければ声をかけた。「一緒にやれたらいいな」。決勝では互いにベンチ入り。高丘はハーフタイム明けにピッチへ。すると川西も後半15分から出場。中学時代に交わした約束が実現したのは、全国舞台の決勝だった。
中学時代は「お互い何も言わんくても分かった」
「まさかこういう舞台でやれるってのは思ってなかったです」。高丘も感慨に浸っていた。ピッチ上で久々に見た盟友の姿。キープ力とチャンスメイクに優れる特徴は、かつての姿に重なる。「中学時代と、あんまり変わっていないなっていう印象でした」。試合には勝ったが「落ちてボールを受けるのうまかった。ボールを運んでチャンスメイクっていうのがすごい上手い選手やったんで、ちょっとやられました」と反省も忘れない。
中学時代、高丘はサイドハーフ、川西はフォワードとして攻撃を牽引した。「コンビみたいな感じ」というほど2人の息はぴったり。「お互い何も言わんくても分かった」と、阿吽の呼吸で連係を築いた中学時代を懐かしむ。
互いに負けず嫌いで「チーム内での得点を結構意識していたんですけど、結局最後、川西くんに1点負けたことがあって。そこはいまだに悔しい」と苦笑い。川西のプレーには「成長が見れたので、自分ももっと頑張らないといけない」と刺激も受けていた。
柏田サッカークラブに所属した面々とは、2人とも「めっちゃ仲が良かった」と声を揃える。インターハイ後、束の間のオフを利用して、大阪で再会予定だ。「帰省した時とかは絶対ご飯行ったり、皆でサッカーしたり、すごいいい関係性にありますね。絶対遊ぼうって」(高丘)。ライバル同士で、それぞれのサッカー人生を歩みつつも、変わらぬ絆がそこにはあった。
(THE ANSWER編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto)












