1軍がないオイシックス、前半戦で残した2つの成果
プロ野球の2軍は球宴休みを終え、31日から後半戦に突入する。ファームリーグに参加して3年目のオイシックスは前半戦、32勝46敗3分で東地区の4位(5チーム)。勝率5割と、上のレベルに選手を5人輩出するという2つの目標に向かってもがいている。その中では“2軍球団”が背負う宿命もあらわになった。チームが抱える二律背反とは。
1軍を持たないオイシックスは、選手のキャリアをより上のレベルへ押し上げるのが大きな存在意義となる。しかし、それはチームの勝利追求と相容れない場合も当然ある。元DeNAの左腕、高田琢登投手は今季序盤のエースだった。10試合、61回2/3を投げて4勝2敗、地区トップの防御率1.75。ただ5月29日に退団が発表された。韓国プロ野球の斗山ベアーズから、今季創設されたアジア枠で声がかかったのだ。
「旬の選手がいなくなるのは、そりゃ痛いよ。でもそこを目指してやっているわけだからね。チャンスがあれば背中を押してあげたい」と言うのは、武田勝監督。高田は2024年のオフにDeNAを戦力外となったが、今季はファームで圧倒的な成績を残すところまで成長した。“2軍球団“の意義を象徴する存在となった。
7月には主砲もいなくなった。巨人とソフトバンクでプレーしたアダム・ウォーカー外野手が今季新加入。長打力はファームのレベルを超えており、4月末からは4番打者に定着していた。ただこちらも、リーグトップの13本塁打を放った時点で、台湾プロ野球の楽天モンキーズから声がかかり、海を渡った。
2軍球団や独立リーグから海外への移籍には金銭が発生する。国をまたぐことにはなるが、金銭トレードの形をとる。経営規模が小さな球団には、大切な収入でもある。選手を“売れる”ところまで育てるのも一つのビジネスモデルなのだ。
2軍で13連敗の投手がエースに成長し卒業…2軍球団の理想とは
その中で今年の2例には、うまく選手を伸ばせたという達成感もある。高田は2021年に入団したDeNAでは、肩を痛めたこともあり2軍でも通算未勝利。オイシックス移籍後もなかなか勝てず、デビューからの2軍戦連敗は「13」まで伸びた。ところが、昨季後半の先発転向できっかけをつかんだ。武田監督は今季開幕投手を任せ、信頼しているというメッセージを送り花開かせた。
ウォーカーは今季序盤、打率が2割を切るような時期もあった。三振の多さがマイナス要素。その中で「我慢強く使うことで変わっていったね。当てようとして小さくなるのではなく、そのまま振ってもらいたかった。打線に当たれば飛ぶ選手がいるのといないのでは、全く怖さが違うから」と武田監督は言う。「あと大事だったのは、ウォーカーの次を打つ選手」。後ろが弱ければ歩かされるだけ。スカウトに目をつけられるような好成績は、決して一人で生み出せるものではないのだ。
ここで貢献度が高かったと指揮官が言うのは、28歳の小西慶治内野手だ。前半戦は8本塁打、地区トップの40打点。投手では、先発ローテーションで投げ続けた31歳の笠原祥太郎投手(元中日)がやはり、高田を支える存在だった。「選手の層は課題であり続けるでしょうね」という中で、ベテランの存在にも意味がある。
休むことなく、NPBからのドラフト指名を含めて“売れていく”選手を作らなければならない。いい選手から消えていくという現実に対しても武田監督は「いない人数の中で、我慢して使うことが次のベースになるんです」と前を向く。空いた席は若い選手のチャンスと考え、育成と卒業のサイクルを早くしていくのが、個人もチームも成長できる道なのだ。
武田監督はコーチとして、監督として、2軍球団の誕生から3年間を見てきた。「ない中で我慢してやるのは、この3年まででしょう」と言う。決まった練習場がなかったり、移動は長距離でもバスが大半と、環境面は独立リーグ時代から変わっていない部分も多い。チームが次のステップに進むには、ここだけ手つかずというわけにはいかない。
「これは現場以外の問題になってしまうかもしれません。でも桑田(真澄)CBOも来てくれたわけですし、会社のほうにもお願いしていかないといけない」。新潟に野球の楽しさ、面白さを伝えたいと奮闘してきた指揮官の、切なる願いだ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)












