ジョゼ・モウリーニョ監督も含めれば、レアル・マドリーはこの夏これまでにチーム編成へ9000万ユーロを投じてきた。一方、収入は一見するとごくわずかだったが、見方を変えれば事情はまったく異なる。
2026年夏、これまでのレアル・マドリーの移籍収入にざっと目を向けると、わずか750万ユーロしかない。フラン・ガルシアは400万ユーロでセビージャのレアル・ベティスへ移籍。さらに、昨季はすでにヘタフェCFへレンタルされていたマリオ・マルティンが、同じラ・リーガのライバルにあたるそのクラブへ350万ユーロで完全移籍した。ひとまずはそれだけだ。
だが、詳しく見ていくと話は違う。実際のところ、レアルはここまでの今夏の補強を、選手売却によって完全に自前で賄っている。ベルナルド・シウバとイブラヒマ・コナテは移籍金ゼロで加入し、デンゼル・ダンフリースには2000万ユーロがインテルへ支払われた。さらにマルク・ククレジャを、レアルは5500万ユーロでチェルシーから引き抜いた。加えて、新監督ジョゼ・モウリーニョをベンフィカとの現行契約から引き抜くために発生した1500万ユーロも計算に入れれば、白い巨人はここまでで9000万ユーロを投じている。
それでも、現時点では移籍収支は大幅なプラスだ。というのも、レアルは近年、タレントを手放す際に一貫して用いてきた賢い一手によって、直近でレンタルに出されていたマリオ・マルティンの350万ユーロも含め、昨季のトップチームの陣容にすら入っていなかった選手たちから、1100万ユーロ超を王者の金庫に呼び込んでいるからだ。戦力流出は実質ゼロ。それでいて、多額かつ極めて重要な収入を確保していたのである。しかも、その事実は一見しただけではほとんど気づかれなかった。
なぜそんなことが可能なのか。その魔法の言葉は「売却時の再販条項」だ。より正確に言えば、実に50%という破格の再販条項である。最も象徴的な例は、つい最近ワールドチャンピオンになったばかりの選手だ。ビクトル・ムニョスは7月19日以降、その肩書きを胸を張って名乗ることができる。もっとも、2026年ワールドカップでスペイン代表として1分たりとも出場していないのだが。
23歳のムニョスはバルセロナ出身で、かつては宿敵バルサの下部組織で見限られた経歴を持つ。だが18歳の時、よりによってマドリーへ移った。トップチームでのブレークが現実味を帯びなかったため、レアルは2025年にムニョスをCAオサスナへ送り出した。そこでこの攻撃的選手は飛躍を遂げ、スペイン代表にまで上り詰め、リヴァプールFCは彼に4000万ユーロを支払う価値を見いだした。ここで再販条項が生きる。その半額がレアルの取り分となり、あっという間に2000万ユーロを手にした。しかもブランコスにとってさらに好都合なのは、昨年オサスナからムニョスの移籍金として2500万ユーロをすでに受け取っていたことだ。つまり、トップチームでわずか4試合しか出場していない選手から、合計4500万ユーロを得たことになる。
マリオ・ヒラのミラン移籍でレアル・マドリーに1500万ユーロ
一方、マリオ・ヒラのケースでは、1500万ユーロがいわば何気なく王者の懐へ転がり込んだ。このセンターバックもムニョスと同じくバルセロナ出身で、レアルは18歳の時にエスパニョールから下部組織へ迎え入れた。その後、トップチームでは短い出場が2度あっただけだったが、カスティージャでの働きによって、より大きな役割を他クラブで担うだけの力を示した。ラツィオが2022年に彼をイタリアへ連れて行き、そして最近になってヒラは3000万ユーロの移籍金でACミランへ移った。その50%超をレアルは受け取ることができた。
合計2175万ユーロは、その一方でボーンマスからひっそりとベルナベウへ流れ込んだ。そのうち925万ユーロをレアルにもたらしたのがアレックス・ヒメネスだ。サイドの選手である彼は長くレアルの下部組織で育成され、U-19世代の選手だった2023年にまずはレンタルでACミランへ移籍。1年後にはサン・シーロへの完全移籍が実現した。レアルのトップチームでヒメネスがプレーすることは一度もなかったが、ミランからボーンマスへの移籍によって、白い巨人は自前の育成選手からかなりの金額を手にした。21歳のヒメネスはすでに昨季ミランからイングランドへレンタルされており、ボーンマスは今回、1850万ユーロの買い取りオプションを行使。その後まもなく、ヒメネスをACフィオレンティーナへレンタルに出した。
そして実際に来季ボーンマスでプレーするのがアルバロ・ロドリゲスだ。このセンターフォワードは、かつてレアルがU-17年代でジローナから獲得した選手で、ヒメネスとは違ってトップチームでも少なくとも何度か出場機会を得ている。レアルのトップチームでは10試合に出場し、その中には特別な一戦もあった。2023年2月、アトレティコとのダービーで試合終盤の15分に途中投入されると、当時カルロ・アンチェロッティが率いていたチームを、1-1の同点弾で宿敵相手の敗戦から救ったのだ。アシストを記録したのは、ほかでもないルカ・モドリッチだった。
レアル・マドリー、最大の収入源はニコ・パス
もっとも、ロドリゲスが他の名あるクラブの関心を引いた最大の理由はカスティージャでの活躍だった。ヘタフェへのレンタルを経て、2025年にはエルチェCFがこのアタッカーに1450万ユーロを支払った。さらに1年後、ラ・リーガで好シーズンを送ったロドリゲスの価値は、ボーンマスにとって2500万ユーロとなった。つまりレアルには1250万ユーロが入ることになる。
だが、この気づかれにくい1100万ユーロ超の移籍収入の中で最大の取り分をもたらしたのは、スペイン王者ではなく、その別の再販条項だった。ニコ・パスは下部組織が生んだ最大級の才能の1人だったが、レアルは2024年にコモへ放出した。そこで攻撃的MFは見事な成長を遂げたが、当面の将来はマドリーではなく、引き続きコモにある。レアルは900万ユーロの買い戻し条項を行使したものの、イタリアのクラブは推定6000万ユーロでパスを引き留めた。差し引きすると、レアルには5100万ユーロが入る計算となる。しかも2027年に向けた新たな買い戻しオプションも確保している。
なお、この実入りの大きい再販条項モデルによるレアルの今夏の収益は、まだここで打ち止めではないかもしれない。セルヒオ・アリバスに関しても、白い巨人は近く、もはや陣容に入っていない選手から再び利益を得る可能性がある。レアル育ちのこの攻撃的MFは、スペイン2部のUDアルメリアで47試合33ゴール関与という卓越したシーズンを送り、より大きなクラブの関心を引き寄せた。特にベンフィカがアリバス獲得に強い関心を示しているとみられ、1200万ユーロの移籍金が取り沙汰されている。そのうち600万ユーロが、そのままマドリーへ入ることになる。












