Simon Jessop Marc Jones
[ロンドン 26日 ロイター] - アフリカ開発銀行(AfDB)の気候変動・グリーン成長担当ディレクターのアンソニー・ニョン氏はロイターのインタビューで、南米ペルー沖で海面水温が特に高い状態が続く「スーパーエルニーニョ現象」により、アフリカ諸国は総額100億―200億ドルの経済的打撃を被り、被害が深刻な地域で大規模な人口移動が発生する可能性があるとの見方を示した。
スーパーエルニーニョによる経済的打撃の試算を主要な国際開発金融機関が示したのは初めて。気象予報機関は、現在の太平洋の海水温上昇傾向が続けば、観測史上でも最強クラスのエルニーニョ規模が起きる恐れがあると警告している。エルニーニョはアフリカで深刻な干ばつや洪水、暴風雨を引き起こすことが多い。
食料と水の安全保障が脅かされるだけでなく、災害によってインフラが損壊し、資金不足に陥った国が危機対応のために借り入れた融資の返済に苦しめば、政府財政や銀行セクターにも打撃が及ぶ可能性がある。
ニョン氏は「今回の現象だけで、特に影響の大きい国は国内総生産(GDP)が平均で1ー2%押し下げられ、被害額はアフリカ大陸全体で100億―200億ドル程度に達する」と見込んだ。
AfDBが5月に発表した最新の予測では、アフリカ全体の経済成長率は今年が4.2%で、2027年は4.4%に加速すると予想されている。しかしいずれも米・イスラエルとイランの軍事的緊張が緩和することを前提としており、しかも「スーパーエルニーニョ」の発生が予測される前の見通しだ。
ニョン氏はアフリカの被害予想について国別の内訳は明らかにしなかった。ただ今回の打撃が一過性のものにとどまる公算は低いと警鐘を鳴らした。サヘル地域で続く干ばつが長期化する恐れがあるほか、モザンビークでは2019年のサイクロン「イダイ」後のように復旧に数年を要する可能性もあるという。
アフリカは23-24年のエルニーニョでは、南部で深刻な干ばつが発生した一方、東部は大雨と洪水に見舞われた。その結果、広範な地域で農作物の不作や食品価格の急騰が起きたほか、沿岸地域では海面水位が過去最高水準まで上昇した。
AfDBは9月に行内で検討会を開き、エルニーニョが計画中および既存の投資案件に及ぼす影響を幹部職員が評価するなど、対応を本格化させる。
国連が10月に発表した報告書によると、途上国は2035年までに気候変動対策のために全体で年間約3650億ドルを必要とする見通し。一方、国際的な公的資金による気候変動適応向け資金は23年時点でわずか260億ドルにとどまった。ニョン氏は、予想されるエルニーニョの規模を踏まえると、アフリカが今年必要とする資金は最大1000億ドルに達すると述べた。
ニョン氏によると、人道面の課題も問題をさらに深刻化させそうだ。AfDBはスーダン、南スーダン、コンゴ民主共和国、ソマリア、マリ、ブルンジ、ナイジェリアは特に深刻な影響を受ける可能性があると指摘。「今回強力なエルニーニョが到来すれば、大規模な人口移動が起きる」と予想した。影響が大きい国では主食のトウモロコシの価格が2倍に高騰する可能性があり、人の移動が起きて、資源不足と、放牧地や水を巡る競争によって、既に脆弱な地域の不安定化に拍車をかける恐れがあるとした。












