Patturaja Murugaboopathy
[29日 ロイター] - 米国のハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)は人工知能(AI)向けのインフラ整備の支出拡大に伴い、多額の社債を発行して資金を調達している。投資家による選別が厳しくなるのに伴い、社債の利回りは着実に上昇している。
ロイターがLSEGのデータを分析したところ、米アマゾン・ドット・コム、グーグルの親会社アルファベット、メタ・プラットフォームズ、オラクルの4社は2026年に入ってから今月7日までに総額1940億ドル程度を発行しており、これは25年通年の1080億ドル程度から79%増加している。
ゴールドマン・サックスは、これら4社にマイクロソフトを含めた5社のハイパースケーラーによる社債発行額が26年に2500億ドル程度となり、27年には4000億ドルに達すると予測している。
このような社債の供給増を受け、主要な満期区分でこれらの投資適格企業の無リスク利子率(リスクフリーレート)に対する借り入れスプレッドが拡大している。
アマゾン、アルファベット、メタ、オラクルについては2―4年物社債の中央値のスプレッドが40ベーシスポイント(bp)となり、25年の30bpから広がった。5―7年物の中央値のスプレッドは60bpと、50bpから拡大。20年超物の中央値のスプレッドは118bpと、108.5bpから広がった。
流通市場でのパフォーマンスも悪化している。ロイターがLSEGのデータを分析したところ、26年に発行され、価格比較データが存在するハイパースケーラーの社債91商品のうち78の商品は、今月28日時点で発行時より高い利回りで取引されていた。上昇幅の中央値は約22bpだった。
ブラウン・アドバイザリーの債券部門責任者、コルビー・スティルソン氏は「私たちは投下資本に対するリターンを将来得られるという見込みを前提に、こうした巨額の投資を実施している状況にある」とし、「近い将来のうちに、こうした供給がなくなるような時期は見当たらない。(市場の)テクニカル要因としては、それがスプレッドに圧力をかけている」と指摘した。
投資家の需要は絶対値としては依然堅調であるものの、供給の加速に伴って弱まっている。
米オルタナティブ資産運用大手アポロ・グローバル・マネジメントによると、ハイパースケーラーの社債発行でのカバー比率(発行額に対する投資家からの注文額の比率)は今年7月に2倍未満となり、2月の5倍弱を下回った。
もしもカバー比率が3倍の場合、発行額1ドルにつき、投資家が3ドル分の債券を注文したことを意味する。アポロはカバー比率が低下していることは、ハイパースケーラーが今後の社債発行で十分な需要を集めるためには、より広いスプレッドを提示しなければならない可能性があることを示唆していると言及した。
アマゾンの最近の社債発行は、このような変化を如実に示した。アルファセンスがまとめた調査レポートによると、3月の米ドル建て社債発行のオーバーサブスクリプション(需要超過)倍率は約3.4倍だったのに対し、7月に発行された社債では約1.6倍にとどまった。
ブラウンのスティルソン氏は「クレジット市場では、この巨額の債券発行を支えることに既に疲労感が見られる」と説明する。
投資運用会社セージ・アドバイザリーは、アマゾンが250億ドルの社債を最近発行した際、その前に同社が今年発行した30年物社債のスプレッドが約20bp拡大したと指摘した。セージは、ハイパースケーラー各社の米ドル建て債務総額が3600億ドル超となり、昨年9月の2倍超へ膨れあがったと推計している。
セージは「スプレッドは一時的に拡大するものの、その後は安定化し、やや縮小する傾向がある」と言及した。
LSEGデータによると、社債を発行した際に上乗せする追加利回り(新規発行コンセッション)の中央値は2025年の2.25bpから2026年には12bpへ上昇した。直近の算出値はアマゾンの起債案件に基づいている。
ゴールドマンは、ハイパースケーラーの26年の設備投資額が約7500億ドルに達すると予想する。これに対し、営業キャッシュフロー(CF)は7780億ドル程度となる見通し。
26年の社債発行額は設備投資額の約3分の1、27年には約35%に相当すると見込まれている。
ゴールドマンは社債発行が加速するのに伴い、市場の飽和状態や発行体の集中がより大きな制約要因となる可能性が高いとし、カバー比率の低下やスプレッドの拡大は投資家が供給を吸収するためにより大きな対価を求めていることを示唆していると指摘した。












