[30日 ロイター] - 米電気自動車(EV)大手テスラの幹部は、宇宙企業スペースXとの合併の可能性を視野に、中国事業の分離に向けた準備を進めるよう指示されていると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が30日、協議に詳しい関係者の話として報じた。
両社を率いる米実業家イーロン・マスク氏は報道を受け、自身が保有する交流サイト(SNS)「X」のアカウントに「議論の場で一度も話題に上ったことすらない。ばかげたフェイクニュースだ」と投稿した。
報道によると、テスラのアドバイザーは分離の選択肢として、スピンオフ(分離・独立)、売却、閉鎖などについて協議している。中国事業のスピンオフまたは売却をどれほど速やかに実現できるかは不透明で、計画は変更される可能性もあるという。
テスラとスペースXの合併は、地政学・規制上の障壁に直面する可能性がある。スペースXが安全保障や衛星計画に関与する米国の主要な防衛関連企業である一方、テスラは中国で完全所有の製造施設を運営しているため、特に中国では問題となり得る。
テスラとスペースXのコメントは営業時間外のため得られていない。
投資家やアナリストは、両社を統合する可能性について以前から臆測してきた。スペースXが過去最大となる750億ドル規模の新規株式公開(IPO)を進める中で、その議論は一段と活発になっていた。
WSJによると、マスク氏は近年、テスラの幹部に対し、米国事業と中国事業の間に「レーザー(明確な境界線)」を引いて組織運営するよう指示していた。両国間で地政学的な対立が生じた場合でも、少なくともテスラの米国部門は存続できるようにする狙いがあるという。
多くの外国自動車メーカーとは異なり、テスラの中国事業は現地企業との合弁形式を採らず、完全子会社として運営されている。
テスラの上海ギガファクトリーは、同社にとって世界最大かつ最も生産性が高い工場で、欧州、カナダ、アジア太平洋地域向けの主要な輸出拠点となっている。同工場はこれまでテスラの世界納車台数の半分以上を占め、年間生産能力は95万台を超える。
中国は米国に次ぐテスラ第2位の市場だが、比亜迪(BYD)など地元勢からの激しい競争圧力にさらされている。
WSJによると、幹部らは上海工場からの輸出を扱う独立した販売法人の設立についても協議した。テスラは別のオフィスシステムを構築し、中国拠点の従業員が他の社内部門に直接アクセスすることを禁じる可能性もあるという。
マスク氏は今月、スペースXとテスラで重複する事業領域が拡大していると述べ、統合する可能性を否定しなかった。
スペースXのグウィン・ショットウェル社長兼最高執行責任者(COO)も潜在的なメリットを認めており、6月に米CNBCに対し、両社を統合すれば経営が効率化され、「マスク氏の人生が少し楽になるかもしれない」と語った。
ただ、JPモルガンのアナリストは、両社の合併に必要な規制当局の承認取得が現実的な障壁になると指摘。特に中国では、スペースXと米政府のつながりが安全保障上の懸念になる可能性があるとしている。












